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喜多流能楽師。
全国津々浦々、謡蹟を訪ねて写真を撮っております。

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奈良 一日ひとり旅




平成20年10月2日、大倉会大阪公演を終えて大阪大学謡曲部の稽古まで一日時間が空いたので奈良へ出かけました。

下調べを一切せずにぶらりと、ひとり旅です。
大阪難波駅から近鉄奈良駅まで、急行に乗車し40分で到着、行基上人像の前からタクシーに乗り「法華寺まで!」と行き先を言うと即座に「新大宮で降りたほうがよかったですね」言われました。やはり下調べは必要です。出だしから無駄足となりました。

法華寺は光明皇后(聖武天皇の皇后)のお姿を映した、と言われている本尊・十一面観音立像が有名で特に光背が特殊で面白いお姿です。是非一度見たくて出向き ましたが、日頃はお前立ちしか見られません。毎年10月25日〜11月10日までが特別御開扉で本物が拝見出来ます。境内はきれいに整備され、光明皇后が 民のためにと作られた浴室(からふろ)や井戸は庭園(有料)にあります。

法華寺のすぐ隣には海龍王寺があり、こちらも本尊は十一面観音菩薩です。
この寺は応仁の乱や慶長の地震のため壊滅的な打撃を受け、明治時代に入ると廃仏毀釈(はいぶつきしゃく)の影響を受け多数の什器を失いました。いまもやや荒廃した感がありますが、それがまた古い歴史を感じさせてくれます。

佐保路三尊(法華寺、海龍王寺、不退寺)を見比べるために、何回か拝観している不退寺にもタクシーで5分程度なのでお参りしてきました。
ここは能『井筒』の在原業平ゆかりの寺です。業平寺とも呼ばれ、別名、南都花の古寺といわれるだけあって、本堂の周りには四季いろいろな花が咲きます。
本尊は聖観世音菩薩立像で、業平自身の作です。耳の上で結んだ大きなリボン(冠飾)が珍しい立像です。

奈良と言えば、東大寺の大仏様が思い浮かびますが、私のお気に入りは戒壇院の四天王、特に広目天のあの目が最高です。また実物が見たくなり立ち寄ってしまいました。

移動中に聖武天皇南陵があり、一時下車して撮影兼お参りをしてきました。

戒壇院の四天王は東大寺内の中門堂から移されたもので、戒壇院にはじめから設置されていた銅造のものは・・・今はありません、とガイドさんの説明でした。
奈良で写真家といえば入江泰吉です。その記念館があることを思い出し、急遽計画を変更して見学に向かいました。
戒壇院からすぐ下におりたところで、運転手さんが「ここがご自宅です」と車を止めて案内して下さり、カシャと一枚撮影。ひっそりと古風な趣のお家でした。
入江泰吉記念奈良市写真美術館の前で車を降りたら、残念! 展示会準備のため休館となっていました。事前に電話しておけば・・・・と、またまた反省。

では次は、今回の謡蹟めぐりです。
21年喜多流自主公演で『雲雀山』を勤めますので、その謡蹟を訪ねてきました。

高林寺(奈良市井上町32)の門碑に「中将姫修道霊場、豊成卿古墳之地」とあります。
高林寺は奈良時代、藤原右大臣豊成卿の屋敷跡に建てられた寺です。
豊成の姫のお一人が中将姫です。この地で誕生し、17歳にて世の無常を悟り出家して当麻寺へ入られるまで、この館で修道に励まれました。その旧跡です。
生憎、豊成・中将姫父子の木像は拝見出来ませんでしたが、豊成卿古墳は本堂の前にあり拝見出来ました。ご覧になりたい方は予め電話しておくことをお薦めします。
場X0742−22−0678 ご住職は稲葉慶信様です。
道一本となり筋に誕生寺と徳融寺(とくゆうじ)があります。
誕生寺は中将姫産井があるのですが、こちらは今回お留守のため拝見出来ませんでした。斜め向かいにある徳融寺には本堂左手に立派な豊成廟(右)その左隣には中将姫の墓があります。

近鉄奈良駅に戻り、時間がまだあったので、西大寺に向かいました。
西大寺は奈良から二駅目、下車すると秋篠寺の字が目に入り、タクシーに「秋篠寺まではおいくら?」と聞くと、「¥740ですわ」と即答。折角ここまで来たのだから・・・伎芸天を見なくてはと思い、直ぐに乗車、秋篠寺に向かいました。

タクシーで7,8分で秋篠寺です。ここは朱印をしないのが残念です。
ここにしかない伎芸天はほんとうに美しいです。
本来のお姿は女性ではないと言われていますが、私はどうしても女性を想像してしまいます。芸能の神といわれているので懇ろにお参りしてきました。

拝観を終えると本日の最終目的地、西大寺の「謡曲百萬の柳」を見て幕を下ろすことにしました。
西大寺駅より徒歩3分の近場にありながら、道が狭いため観光バスが入れず、東の東大寺に対して西の西大寺のはずですが、いまひとつにぎやかさがなく寂しい感がします。これはこれでかえって雰囲気がありよいところです。

本堂のご本尊は釈迦如来ですが、四王堂には巨大な十一面観音立像もあります。
四王堂の前に池があり、『百萬』で謡われる「西の大寺の柳陰、緑子の・・・」の柳が今もあります。百萬はこの池の影に我が子を思い、奈良坂を下りて西大寺、そして清涼寺まで歩いていかれたのです。
では、写真でご紹介します。
法華寺本堂 
境内は綺麗に整備されています。庭園は別料金ですが、是非ご覧下さい。




海龍王寺境内
芭蕉葉は『井筒』に「松風や芭蕉葉の夢も破れて・・・」と謡われます。




佐保路のポスターより
左が法華寺、右が海龍王寺の十一面観音、是非本物をご覧下さい。



不退寺
花に埋もれるように見える不退寺、業平寺ともいわれています。




聖武天皇南陵
綺麗に整備されゴミ一つ落ちていません。




写真家入江泰吉氏の表札




高林寺の石碑
『雲雀山』の謡蹟です。




高林寺境内にある豊成卿古墳(手前)
ご住職は女性でした。




誕生寺
産井がありますが、生憎見られませんでした。




徳融寺
中将姫と豊成卿の墓があります。





豊成卿の墓




中将姫の墓



秋篠寺の敷地に石塔があり苔が綺麗でしたので撮影しました。




百萬の柳 
西大寺境内にある柳の下には池があります。

京都・奈良